人の心に響く、プロフェッショナルの作品とは、♪

私が農業をはじめてから10年以上が経ったときの記憶

それは私の無農薬無肥料栽培を積み重ねてきた年月です。なんどもなんども種を蒔き続けてきました。作物が育たないこと、収穫ができないことの連続です。

収穫よりも、畑で廃棄していくもののほうが多かったでしょうか。何年も繰り返していると、ときどき心の希望が消えかけて、種を蒔く前から作物ができない姿が脳裏に浮かんできてしまうことがあります。

「今年こそは、必ずよくなる・・・」そう自分自身に言い聞かせるように希望の火をつけなおしますが、さすがにヘトヘトに心も身体も疲れきってしまうこともあります。
「失敗は繰り返さないように」、という教訓がありますが、私にとっての、作物ができなかったということは、失敗ではなく、大切な積み重ねです。農業は人の力を超えたもののほうが多いようです。

そんなある日、テレビで世界的ピアニストの辻井伸行さん(1988年生まれ)の紹介番組が放映されていました。生まれつき全盲という大きなハンディをもちながらも、世界でトップクラスのコンクールで何度も優勝を得るほどの演奏を奏でます。そのピアノの音色は多くの人に感動を与え、心に響きます。その演奏は、彼自身の才能からなのでしょうか。興味深いのは、彼がそれに至るまでには、幼少期より多くの困難を乗り越え、人並み以上の練習を重ね、絶え間ない努力を重ねてきた背景があるようです。

人の心に響くものは色々あります。高い芸術作品や、音楽、時には美味しい料理のときもあるでしょう。それらのプロフェッショナルに共通していることは、人並み以上の努力を重ねていること、多くの困難を乗り越えてきたこと、そしてもうひとつ、なによりも「そのことが大好きだから」もあるのではないでしょうか。

私にとっての農業も、うまくいかないことや、繰り返す苦労があれば、それは「練習」であり、絶え間ない「努力」。そして何よりも「農業が好きだから」の初心を忘れずにいたいと思います。

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