No4 即醸法とは|短期間で発酵を進める方法

天然熟成はなぜ天然というのか?

本醸造醤油のなかには温醸法や即醸法といわれるものが多く、仕込んでから約1~3か月ほどで完成させるものがあります。えっ?菌達の働きってじっくり1年以上かかってこそ美味しさが生まれるじゃなかったの?と思ってしまいますが、それは仕込みを行ってから温度を急激にあげて急激に発酵を促進させる方法が行われています。

先ほど、熟成には日本の四季が必要で、それぞれの季節と気温によって働く菌たちの種類も変わってゆくということを説明しましたが、この即醸法による加温方式のときは、確かに発酵がおこりますが、季節感でのイメージでいうと暑いときの夏に働く菌だけの単独疾走のような感じになります。そうすると、ほかの季節に働く菌達の出番がないから、結果できあがったものがどうもコクがない、味わいの幅がない、旨味がないということになってしまいます。

そこでメーカーさんはそれでは美味しくないし売れないということで、いろいろな調味料を入れて、あたかもじっくり熟成したかのような味をつけて整えてしまいます。食品表示でみられる調味料(アミノ酸等)、果糖ブドウ糖液糖、甘味料(ステビア、カンゾウ)などがあります。極端になると醤油や味噌なのになぜかダシや旨味調味料が入っていたりするのもこのためです。加温させる方法や、すみやかな発酵を促すための酵素剤(発酵促進剤)を使用されることもあります。

本醸造と天然醸造の違いは、どちらも発酵してはいるけども本醸造は食品添加物が入ることが認められているのに対し、天然醸造は食品添加物が一切用いられていないという分類になります。味噌の場合は天然熟成と言います。

本物の美味しさにたどり着くためには長い年月が必要です。熟成環境を人為的にコントロールしてしまう熟成に対して、春から夏、秋そして冬までの期間を個性豊かないろいろな菌達に働いてもらうことが大切です。

なぜ短期熟成が広がるのか|製造量とコストの背景

どうしてプロの味噌や醤油屋さんはプロなのに天然醸造させずに即席的に作ったような、ある意味まがいもの?といったら失礼かもしれませんが、本当の発酵食品と「なんちゃって発酵食品」とでもいいましょうか。どうしてそのようなものを製造販売してしまうのかという疑問があると思います。その答えは結構単純だと思います。基本1年以上かけて作るものを、わずか数か月でできてしまったら、例えば小さな工場でも1年間でできる量が、なんと5~6倍の量ができてしまいます。

そうするとコストは下がって、同じ施設規模でも製造量が飛躍的にあがるから、売り上げがどんどん上がります。足りない味は調味料で安定した美味しさに作り上げてしまえばいいから、ということで、じつは日本の発酵食品の多くが同じように、発酵させない食品が多くなってきており、代わりに発酵で得られた美味しさを調味料で補う構図が生まれるから、今では発酵食品の大国日本とは言えなくて、添加物の大国日本になってしまったのでしょう。

味噌、醤油はもとよりお酒、お漬物、いろいろなものが、なんちゃって発酵食品になってしまっているのはとても悲しいことです。

手作り味噌がプロ以上においしくなる理由

手作り味噌づくりに参加された多くの方が、ちょうど1年ほどまえに参加された方が1年たったころまた味噌づくりに参加されますが、皆さんが一様に「素人の自分がどうしてこんなに美味しい味噌が作れたのか、びっくりしています」と言われます。

私たち素人が家庭で仕込む味噌も、じっくり熟成させる天然熟成の味噌です。だからこそ素人なのにプロ以上の美味しい味噌ができるのは当たり前なのですね。それは味噌づくりにとって当たり前なことをしているからの結果です。

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