奇跡の にんじん
おぉぉおお! 引っこ抜いた人参がデカイ!。
本当にビックリしました。はかりにかけてみると1本で、450gもあるじゃないですか。
ちいさな大根くらいの大きさです。こんなビック人参は稀ですが、普通の人参らしい大きさのものがザックザック収穫できています。普通の人参って、何でしょうか???。
よしま農園の畑は、山をきりひらいてできた開墾畑です。広い畑には赤土が広がり、最初の数年は雑草すら生え育たないほどに極めて痩せており、まるでレンガを砕いたようなゴロゴロの土でした。
肥沃な土壌のもとで作物を栽培することはある意味たやすい事かもしれません。しかしその逆である痩せ地での農業には、大変な困難が伴いました。
土壌を肥沃にする方法は色々あります。大量の堆肥や肥料を入れることは最も代表的な方法のひとつです。しかし、私はその当時から何も入れない無肥料無農薬無堆肥栽培に志していたことから、その方法を選ぶ事はありませんでした。
そして、その畑に8年前(2000年)、人参を播きました。しかし、収穫の季節になっても全く成長しないままで、まるで鉛筆のような細さの人参ばかりでした。
そのような人参を掘りあげていくと、100本のうち1本くらいは人参らしい大きさのものが出てきたでしょうか。
爽快な秋晴れのなか、その1/100の人参を手にして「この1本がいずれ、この畑全体に広がっていくんだ。必ずそうなる」と、夢見たことを私はしっかり覚えています。
1%の可能性を手にして、それからチャレンジは毎年続きました。キャベツの苗を植え付けても全く成長せずに収穫皆無だったこと・・・芽吹いた野菜の新芽が途中で全て枯れて消えてしまったこと・・・、育たなくても何度も播き続けた人参・・・。この大地でいろいろなことを経験してきました。
それでも今、私はこの畑で農業ができることが嬉しく、この畑が大好きです。作物の成長がどうであれ(順調にいかなくても)、この畑と、そこから生れてくる野菜たちを、私は心より愛しています。 普通の農家であれば、人参の種を播けば人参が収穫できることが当たり前です。そして少しの規格外品を除いて、普通の人参の大きさであることが当たり前です。今年、よしま農園が収穫する人参は普通の人参です。しかし、この普通であることが、私と、この畑にとっては感動で、奇跡です。今年は、頻繁に人参畑行き、「すごく嬉しいなぁ。なんて綺麗な人参畑なんだろう」と、畑の真ん中に座って眺めるのが、とても心地よい時間でした。

