塩の種類によって 変わること

塩といってもかなり違う

精製塩と天日塩、どう違うのか

精製塩は海水を電気分解して塩化ナトリウムのみを抽出するイオン交換膜製塩法です。この精製過程でミネラル成分はほぼ失われます。これを結晶化させたものです。工業的につくるので安く大量生産が可能です。

天日塩は、海水を平窯で煮詰めて結晶化させるため、海水由来の複雑なミネラル成分が残りやすい製法です。

もうひとつの塩の種類に岩塩があります。岩塩は太古の昔の地球で海水が結晶化した地層が隆起して残った塩であって、自然な結晶の塩ではありますが、ミネラル成分はほとんど残っていません。これは、結晶化後に地表で長年の雨風によってさらされた結果、水に溶け流れやすいミネラル成分だけが失われている結果です。ただし、工業的な精製塩とは異なり、自然結晶で構成された塩分ですから端的にいえば身体にとって良いでしょう。

天日塩の魅力は豊富な100種ほどにもなる海のミネラルを含んでいることです。人の血液や体液成分に近いといわれる液体の生理食塩水は真水に約0.9%の塩を溶かすことで作ることができます。人体にとって塩は欠かせない大切な成分です。さらに生命にとって必要な多種多様なミネラル成分を同時に得ることができれば、血液成分にも近づくことが容易に連想できるでしょう。

精製塩はカリウムやマグネシウムなどのミネラルを含んでいないため、過剰摂取した場合には体内に蓄積しやすい傾向があり、これが高血圧や腎臓への負担増につながりますが、天日塩にはカリウムやマグネシウムを含むものが多く、いったんとりこまれた過剰な塩化ナトリウムがあったとしてもカリウムによって対外への排泄作用が起き、結果的に過剰摂取の害を軽減してくれているそうです。

天日塩と言っても同じではない

「株式会社青い海」のシママース塩は塩分相当量が93%ですが、天日塩はどれも同じかといえばそうではなく、種類やメーカーによってかなり成分内容は異なります。

たとえば、粟国の塩をみてみましょう。食塩相当量73.4g。驚くほどミネラルが豊富です。次にインカの天日塩は食塩相当量96.5g、天日塩コンテェントラートデルマーレ(アサクラ)の食塩相当量は99.1gで、ほとんどミネラル分が含まれていません。どれが良いかどうかということではなく、塩といっても内容成分は大きく違うということが確認しておきたい大切なポイントです。

味噌づくりにおいては、塩分濃度の計算が間違わないように注意しましょう。ミネラル成分の多さ少なさによって、割り増しでいれるべき塩の量が変わってきます。

塩の量によってはたらく菌の種類がかわり、保存性の違いがあります。

たとえば梅干しをつくるときにも同じようなトラブルを聞くことがあります。ある方は「毎年梅を漬けていますが、毎年同じレシピなのにどうしてか今年は漬けた表面のカビがすごくて驚いています」というのですが、私は聞き返します「もしかしたら塩を変えませんでしたか?」すると、「確かに塩を変えました。今年はもっと美味しくて健康的な梅を漬けたいと思って天日塩のちょっと高い塩を使ってみました。以前は精製塩でしたが」

レシピが同じなのに、どうして今年に限ってうまく漬けられなかったのでしょうか。答えは明確です。レシピが同じということは、塩の重さを量った分量も同じだったということでしょう。精製塩は食塩相当量が約99%に対してこのときの天日塩は約93%です。同じ分量の塩をいれたとしたら、完全に減塩になって塩の量が7%も少なくなってしまったのです。その結果、いつもは発生しないカビなどが大量に発生しやすい環境になっていたといことでしょう。

料理でも塩の量に注意します

塩の種類やメーカーによって注目すべきは、食塩相当量です。大きく差があります。経験や勘にたよりがちな料理で塩を使うときも、食塩相当量を確認することはとても大切です。例えば料理のレシピが精製塩を使ったレシピであるのに対し、その時キッチンにあった塩が天日塩(このときの天日塩の食塩相当量が約80%だった場合)だとすると、レシピ通り塩の分量を量っていれたとしても、なんだか物足りない味になる。薄味のように味がはっきりしないということになります。それは、入れたはずの塩の量がレシピよりも20%も少なかったからです。つまり重さはレシピどおりでも、そのなかに含まれていた食塩相当量は20%少ないからです。逆のこともあります。レシピが天日塩を使ったものに対して、そのときキッチンにあって使った塩が精製塩だった場合は、「レシピどおりに塩を量って入れたけど、どうしてこんなに塩辛い料理になってしまったの?!」というトラブルがおきます。いろいろな料理レシピを公開している料理研究家の多くが天日塩などを使っている場合は多いので、このトラブルはよく見受けられます。

塩は塩でも、そのレシピがどんな塩を使っているかを確認することが大切です。

塩が美味しさを大きく変える。

私は自然食品のお店を営んでいますが、よくお客様から聞かれることがあります。「体に良い食品といっても、何から始めたらよいのか、よくわからない。添加物を使っていない調味料や加工品そして無農薬野菜などどれも魅力だけど全ては変えられないし、家計の出費も多くなるからどうしたらよいと思いますか?」 

私ははじめに提案することは、塩を代えてみることをおススメしています。塩を代えるだけで料理が格段に美味しくなったような実感がでます。それは、単純な精製塩に対して、ミネラルを多く含む塩は、塩以外に人にとって美味しく感じられるミネラルが含まれているからです。けれどもいざ買う段階になると、一瞬迷うことがあります。価格に迷い始めます。精製塩は1㎏あたり110円程度に対して、天日塩は1㎏あたり380円です。その差は3倍以上。さすがに3倍にもなったら迷うかもしれません。すかさず私はお客様に伝えます。塩は3倍の値段もするからびっくりしますが、どうでしょうか。1kgの塩は家庭でつかった場合どのくらいの期間で使い切りますか?漬物や味噌を作るときは塩の量は多く使いますが、日常の料理をつくるのに1㎏の塩があれば、使い切るまでおそらく半年くらいはあるでしょう。半年のあいだの200円程度の違いなら、家計の負担は大きくないですよね。半年の間で200円の負担で料理が美味しくなり家族が健康になると思えば、迷わなくてもよいと思いますが。

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