できあがりは1年後、じっくり待つ
味噌づくりは誰でも簡単にできます。
味噌づくりは、大豆、糀、塩、この三つの材料を混ぜるだけでできてしまうので仕込みはあっという間で簡単です。だれでもできます。
それこそ2歳や3歳くらいのちびっ子でも作れてしまうほどです。けれども、この三つの材料を混ぜるだけといいますが、実はこの三つの材料を混ぜるといっても、混ぜる順番があって、その順番を丁寧に守って混ぜてゆくと、だれでもが美味しくてプロ以上のお味噌ができます。
簡単といっても、大切なのは混ぜる順番
では、順番の説明をします。1番、まずは煮た大豆をつぶす。2番、糀の塩切り(しおきり)。これは糀と塩を混ぜることを言います。そして3番目に1と2のつぶした大豆と塩切した糀を混ぜる。そして容器に詰める。その容器は5㎏とか10㎏とかの場合は丸い桶とかを準備しますが、2㎏くらいの場合は簡易的にこの袋で詰めてゆきます。
そして、今日仕込んだ味噌が食べられるのはなんと1年後です。えーっつ?!すぐに食べられないの~なんて驚いて嘆く方もときどきいらっしゃいますが、本来の味噌はじっくり熟成してから食べるのが標準なのです。そうなので今日のこの時間でできるのは容器に詰めるだけ。そしてあとはご家庭で熟成していきます。
「仕込んだ味噌、え~こんな大きなものって、冷蔵庫はいらないよ~」
仕込んだ味噌が冷蔵庫に入らないなんて言う方がいらっしゃいますが、全く冷蔵庫に入れる必要はありません。家庭で熟成させるのには常温で大丈夫です。
常温が大切なのです。
味噌は、私たちが冷蔵庫のない時代から、それも江戸時代よりももっと昔から味噌づくりをしてきました。当然電気もないから冷蔵庫もない。そして夏は35℃くらいに気温があがるから心配といわれますが、昔から九州でも沖縄でも味噌は作ってきましたよね。大丈夫なのです。
日本の四季の中でにあって、常温で熟成させるということがとても大切です。熟成というのは単に時間が過ぎたということではなくて、その間に菌達が働くということがとても大切です。その菌といっても1種類だけではなく、いろいろな菌がいます。
熟成とは、まるでたくさんの種類の菌達のリレーのようなもの
仕込みのときは冬ですが、冬に少し動き始める菌がいて、つぎに春が来ると春の菌がいます。そして夏になって暑くなると、暑さが大好きな俄然やる気のある菌に移り変わってゆきます。そして秋になると少しおとなしい菌に移ってゆき、冬の1年を迎えます。そのように、1年後のゴールを目指して、まるで駅伝選手のように個性豊かな選手たちが次々バトンを渡してリレーしてゆくというようなイメージです。そうなので冷蔵庫にいれてしまうと菌達が十分に動けないのです。菌も生き物で、人と同じように、人だって寒い冬は外に出たくないなぁ、動きたくないなぁと思うように、十分に動けないですね。逆に春になれば、ちょっと外に出て運動したくもなるし、さらに夏になれば夜だって元気に動けるじゃないですか。そのように菌も常温の気温が活動するにはとても大切なのですね。
味噌づくりの職人さんは、人ではなく菌たちだと思う
私たちは味噌の仕込みは簡単にできてしまいます。時間でいうと1時間から1時間半もあればできてしまいますが、そのあとに大切なのはじっくり熟成させることです。その1年のなかで菌たちが働いた結果、人の手では作れないような旨味とコクが生まれるのです。
味噌づくりは、3つの材料を混ぜるだけだから本当に簡単です。子どもたちもワイワイ言いながら味噌づくりします。そうなので、味噌づくりというのは職人の世界ではないのです。特に味噌やお漬物は家庭で作るのがもともと基本でした。発酵食品のお酒や醤油になると、ちょっと素人では難しい職人の技が必要な世界になりますが、味噌づくりは職人はいらないですが、あえて言うならば味噌づくりの職人さんは人ではなくて、味噌を熟成美味しくさせてくれる菌達が職人さんじゃないかなと思います。

